見ていない時間を、管理する——新卒1期生から執行役員へ。Full Bet Management中村文則の組織論 – ZEROWORKS(ゼロワークス)
EXECUTIVE INTERVIEW
No.065
EXECUTIVE INTERVIEW

10年で、売上207倍の会社

COMPANY
株式会社Full Bet Management
NAME
中村 文則
CATEGORY
コンサル・士業
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73 Views#新卒1期生#組織づくり#目標達成

年商3,000万円の会社に、新卒1期生として入った人がいます。

株式会社Full Bet Management 執行役員、中村文則さん。親会社である株式会社Full Bet Groupは、その10年で売上を207倍にしました。中村さんは、その全期間の当事者です。

いま売っているのは、その10年でつくった組織の「型」そのものです。

掲げている一行は、「目標達成している組織には『型』がある」。

「社員の意識を変えましょう、という話は、していないんです」

01
SECTION 01

「型」を、売っている。

まず、いまの事業から伺いました。

Q現在、どのような事業をなさっているのでしょうか?

目標達成事業として、企業に対して組織づくり・マネジメント・人材育成の仕組み化を支援しています。

戦略をつくって終わり、ではないんです。戦略の設計から、日々の実行管理、現場への定着まで伴走して、決めたことをやり切れる組織をつくる。そこまでが私たちの仕事です。

私たちが提供する「型」とは、目標設定・戦略・実行力・修正力、そしてマインドという『5つの力』を組織に定着させる仕組みのことです。何を数字で追うかを明確に「決め」、日々の行動と修正を「追い」、誰が動いても成果が出る仕組みとして社内に「残す」。この決め方・追い方・残し方が揃って初めて、再現性のある「型」になります。

Q会社としてはいつできて、どんな言葉を掲げていらっしゃるのでしょうか?

2026年1月15日の設立です。代表は稲冨祐介、本社は東京都渋谷区の円山町にあります。

掲げているのは、「目標達成している組織には『型』がある」という一行です。戦略や個人の才能だけに依存せず、誰が動いても成果につながる仕組みを組織へ、という考え方でやっています。

Q支援の内容は、どのように整理されているのでしょうか?

私たちは目標達成に必要な要素を「5つの力」に整理して支援しています。目標設定、戦略、実行力、修正力、そして土台となるマインド(当事者意識)です。

1つ目の「目標設定」は、組織の「基準」そのものを引き上げることです。単なる現状維持や前年踏襲の目標ではなく、150〜200%を目指せる基準へと目線を高め、経営の目標と現場の現在地のギャップを可視化します。

2つ目の「戦略」は、経営数字を洗い出し「どの数字を・どの頻度で監視するか」を整理することです。マーケティングから営業、決定率まで、見るべき指標(KPI/KDI)を定義します。数字は「見ている」だけでは動きません。「誰が・いつ・何を見るのか」までルーティン化して初めて、戦略が機能するようになります。

Q残りの3つ、「実行力」「修正力」「マインド」は、それぞれどのような内容でしょうか?

3つ目の「実行力」と4つ目の「修正力」は、私たちが最も得意とする核の部分です。

「実行力」は、朝の目標宣言から日中の進捗確認、夕方の報告まで行い、決めた行動を毎日やり切る状態をつくること。

「修正力」は、ズレが生じたときに「その日のうちに直す」ことです。多くの会社は月末に未達が確定してから振り返りますが、それではもう取り戻せません。毎日の進捗を追い、未達の兆候が出た瞬間に原因を分析して、その日のうちに行動を修正します。

Q最後の5つ目、「マインド」はどのように育むのでしょうか?

「マインド」は、これら4つの力を動かすための「土台」です。どれだけ優れた戦略や管理があっても、現場が「やらされ感」で動いていては成果につながりません。

私たちは第三者の立ち位置からコーチングを行い、「なぜこの目標を追うのか」を握り直すことで、現場の当事者意識や自責思考を引き出します。さらに、行動基準の言語化や成功事例を称賛する文化づくりを通じて、誰かに言われてやるのではなく「自ら目標を達成しにいく組織文化」として定着させていきます。

Q研修やコンサルティング、あるいはマネージャーを1名採用することとは、何が違うのでしょうか?

戦略の設計だけなら、コンサルティング会社さんでもできます。違うのは、日々の実行支援と、現場メンバーへの落とし込みと、仕組みとして社内に残るかどうかです。私たちは「受けて終わる」サービスではないつもりでいます。

採用と比べると、費用もリスクも小さく済みます。しかも、その人が辞めてもノウハウは社内に残ります。

Q入り口は、どのような形になっているのでしょうか?

まず1か月の無料トライアルをご用意しています。

組織の現状を可視化して課題を特定し、必要な型を入れて、毎週振り返る。その1か月で、型がどう組織に入っていくのかを体感していただく形です。

Q中村さんご自身は、どの部分を担当されているのでしょうか?

新規のご相談をいただくところから、実際にお客様に伴走するところまでです。入り口から現場まで、続けて見ています。

「目標設定、戦略、実行、修正、マインド。この『5つの力』が揃って初めて、再現できる『型』になります」

02
SECTION 02

166対2。

なぜ、決めたことは実行されないのか。ここに、「目標達成事業」を掲げるこの会社の一番の特徴があります。

Q組織が動かない原因は、どこにあるとお考えでしょうか?

多くの場合「戦略が悪い」で片づけられがちですが、本質はそこではありません。

経営陣が見ていない時間に、決めた行動が実行されない。原因はそこにあります。

Q「166対2の壁」という言い方をされていますね。その166時間で、何が起きるのでしょうか?

経営陣が現場と向き合える時間は、週にわずか2時間程度です。残りの166時間は、経営の目が届きません。

その166時間で、メンバーは日常の忙しさに追われます。すると、戦略の実行が優先順位の最下位まで落ちていく。立派な戦略が現場で止まるのは、やる気の問題ではなく、この時間配分の問題なんです。

Qだから、毎日追うのでしょうか?

そうです。毎日の目標宣言、進捗確認、そして後追い。ここまでやります。

私たちが重視しているのは「実行力」と「修正力」です。月が終わって未達になってから原因分析をしても、もう遅い。未達になりそうな段階で介入し、マイナスが出たら「その日のうちに直す」。間に合うタイミングで手を打たなければ、意味がないんです。

会議は「決める場」に過ぎません。決めたことを日常で実行し、修正し続けられるかどうかは全く別の問題です。会議だけを整えても、166時間は変わりません。

Q現場の管理職に「毎日後追いしろ」と求めるのは、難しいのでしょうか?

いまの中小企業の管理職の多くは、自分の数字も追うプレイングマネージャーです。

自分の業務で手一杯の人に部下の日々の行動まで徹底的に追えと言っても、物理的に時間が足りません。結果、週1回の会議だけで終わる「投げっぱなしの管理」になってしまう。これは本人の能力ではなく、構造の問題です。

Qだから、二重の構造にされているのでしょうか?

はい。現場のメンバーだけではなく、リーダーがきちんと部下を管理できているかまでを管理します。

マネジメントを、個人の能力や善意に依存させないためです。「できる人がやる」「気づいた人がやる」では、その人が抜けた瞬間に崩れます。

Qエースの背中を見て育つのを待つ、という考え方とは逆ですね?

善意の教育では、組織は変わらないと思っています。

必要なのは、戦略の工夫ではなく、現場が気づいたら行動してしまっている状態のつくり方です。

「経営陣が現場と向き合えるのは、週に2時間。残りの166時間を、どうするか」

03
SECTION 03

「来月頑張ります」を、置いていかない。

仕組みの話は、やがて文化の話になります。

Q「社員の意識を変えましょう」というアプローチは取らないのでしょうか?

精神論では変わらないと思っています。

意識ではなく、行動が変わるところまで仕組みで管理する。そこが、いちばん特徴的な部分かもしれません。

Qよくある状態として、どんなものを挙げられますか?

「未達だったけど、来月頑張ります」が、許容され続けている状態です。

これは数字の問題ではなく、組織文化の問題だと捉えています。一度許容すると、次も許容されます。それが2年、3年と続くと、「達成しなくてもいい会社」になってしまう。

私たちの言う文化とは、目標達成への執着と、自分たちで決めたことを守る習慣そのものです。制度を入れることではなく、その習慣が当たり前になっている状態を文化と呼んでいます。

Q新人の育成については、どうお考えでしょうか?

本人の能力や、上司との相性に任せません。

新人が成果を出すまでのプロセスを、仕組みにします。

Q「新人即戦力化」の仕組みも整理されていますね?

育成を個人の善意に任せない仕組み、新人が成果を出すまでの伴走、組織の基準と文化を守り続ける方法。この3つが軸です。

目安としては、平均3か月で即戦力化する、というところを見ています。

Q実際の事例では、どんな変化が起きているのでしょうか?

SES企業様の例ですと、責任者・期限・進捗を明確にした実行管理の型をつくりました。「決めても動かない」組織から、自ら課題に向き合って行動する組織へ変わって、1年経ったタイミングで利益が4倍になりました。

人材紹介の企業様では、乱立していたKPIを整理するところからでした。組織が本当に見るべき数字を明確にして、施策ごとの責任者・期限・進捗を決めて、継続的に後追いする。数字を見て終わるのではなく、成果に向けて行動し続けられる組織に変わりました。

飲食業の企業様では、目標設定を100〜110%から、150〜200%へ引き上げました。高い目標を掲げるだけでは変わりませんから、毎週の会議を通じて数字への向き合い方と当事者意識そのものを変えていきました。最終的に200%の目標達成まで到達しています。採用でも、活動を日々の業務に組み込むことで、2か月で面接を55件創出した例があります。

「『来月頑張ります』を一度許容すると、次も許容されます」

中村 文則
10年間で、売上が207倍になりました。
04
SECTION 04

3,000万が、63億になった10年。

この「型」は、どこから来たものなのか。

Qこのノウハウは、どこで培われたものでしょうか?

親会社であるFull Bet Groupが、事業と組織を拡大してきた過程で培ったものです。

グループの成長ノウハウを、外部の企業様でも再現できる「型」にして提供しています。

Qグループは、どのくらい伸びたのでしょうか?

10年間で、売上が207倍になりました。初年度が3,000万円で、63億円規模までいっています。社員数も25倍です。

天才的な戦略があったからではありません。「決めたことを絶対にやり切る」という執念の文化があったから、というのがグループの結論です。人は、環境と文化で変われる。その確信が、いまの会社につながっています。

Qそのノウハウは、文書になっているのでしょうか?

「採用・育成」「組織開発」「文化づくり」をまとめた組織づくりマニュアルがあります。本編は約300ページあって、そこから重要なところを30ページに抜粋したものを無料でお配りしています。

中身は、組織拡大の壁の超え方、部下を勝たせる管理職の定義、やり切る習慣の作り方、経営者意識の芽生えさせ方、組織を強くする幹部の在り方。この5つです。

Q自社のノウハウを、なぜ外に出されるのでしょうか?

私たちのグループは、人の可能性に賭けることで大きくなってきた会社です。

Mission が「Full Bet on Potential ― 社会の可能性にフルベットする」、Vision が「Full Bet on Action ― 社会の覚悟をアップデートする」。その考え方でいくと、自分たちの中だけに置いておく理由がないんです。

Q中村さんご自身は、その10年の当事者なのでしょうか?

そうですね。新卒1期生として入って、そのストーリーを身をもって体験してきました。

だから、資料に書いてあることを説明しているのではなく、自分がやってきたことを話している感覚に近いです。

「人は、環境と文化で変われる。それが、うちの結論です」

05
SECTION 05

勝浦の、キャプテン。

ここからは、来た道のほうを伺います。

Qご出身はどちらで、子どもの頃はどんな子だったのでしょうか?

千葉県の勝浦市です。

野球ばかりしていました。小学校2年からソフトボールを始めて、そこからずっとです。

Q途中で、チームが変わる出来事があったそうですね?

監督が変わったんです。それで、チームが強くなりました。

その監督がよく言っていたのが、「人の振り見て我が振り直せ」です。

人が怒られている時に、ちゃんと聞いて、自分の身にしろよ、ということです。「あいつ怒られてるわ」「俺は怒られてないし」で終わらせるな、と。

Qそれは、いまの仕事にも効いていますか?

めちゃくちゃ大事だと思います。仕事でいちばん差がつくところかもしれません。

自分が言われたことしか受け取らない人は、成長の回数が単純に少なくなりますから。

Qチームでの役回りや、勉強のほうはいかがでしたか?

小学校ではキャプテン、中学校は軟式野球で副キャプテン、高校は硬式野球でキャプテンでした。

勉強は、小学校も中学校も、お尻から数えた方が早かったです。(笑)

Q将来のイメージは、当時からお持ちでしたか?

子どものころから、経営者になりたいとは思っていました。

勉強は嫌いで野球ばかりの学生でしたが、それだけはずっとありました。

「人の振り見て我が振り直せ。仕事で、いちばん差がつくところです」

06
SECTION 06

「お前は、大学に行け」。

進路の話になると、中村さんは同じ言葉を二度使いました。「あそこで大学に行っていなかったら」。

Q高校はどちらへ進まれ、その先はどう考えていらっしゃいましたか?

近くの県立高校に、野球の推薦で入りました。

卒業後の進路は、高卒で働こうと思っていました。実家が自営業で、水道関係の設備の仕事をやっているんです。そこに入って継ぐんだろうな、と。

Qそれが変わったきっかけは何でしょうか?

野球部の監督が、「ちゃんと勉強しろよ」という話をしてくれたんです。

それで、人生で初めてちゃんと勉強するようになりました。もちろん、塾なんて通ったこともありません。

Q成績はどう変わって、監督からはどんな言葉をかけられたのですか?

高校は5クラスで、学年150人くらいいたんですが、そのなかで上位30人以内にずっと入っていました。評定平均も4.5まで上がりました。

そのあとキャプテンに指名されて、監督から「お前は大学に行って、教員になれ」と言われました。

Qそこで初めて、選択肢が生まれたのですね?

はい。それまで「大学に行く」という発想自体がなかったので。

進学は、指定校推薦です。勉強の癖がつき、評定が高かったことも幸いしました。

Q野球は続けられて、振り返るといちばん大きな転機はどこだったのでしょうか?

不完全燃焼だったので、続けたい気持ちがありました。ただ硬式でゴリゴリやるのは違うかなと思って、準硬式でやりました。

思い返すと、いちばん大きな転機は、大学に行ったことです。あの選択をしていなければ、今の仕事にも、今の会社にも出会っていないと思います。

「大学に行っていなければ、今の仕事にも、今の会社にも出会っていません」

07
SECTION 07

社長で、会社を選んだ。

就職活動の軸は、業界でも職種でもありませんでした。

Q就職活動では、何を軸に置いて、どうやって会社を探されたのでしょうか?

経営者になれる最短距離かどうか、だけです。家が自営業なので、自分も経営者になるんだろうな、なりたいな、というのは漠然とありました。

探し方としては、ベンチャー企業で、社長の人柄に触れられる会社。社長が自分で説明会をしてくれるような会社を、70社くらい受けています。

Qなぜ、社長で選ばれたのでしょうか?

ビジネスについての理解が、そこまでなかったからです。

事業内容で判断できる自信がなかったので、社長で選びました。生の声を聞いて、「カッコ良い」「信用できる」と思ったところだけ、選考を受けました。

Qそこから絞られたのですね。「経営者になりたい」とは、面接で言えたのでしょうか?

70社から20社に絞って、選考を受けました。

「経営者になりたい」と面接で言うと、どんどん落ちるんです。(笑)今はそういう学生も歓迎されるかもしれませんが、当時はそうではなかったですね。

Q最終的に選ばれたのは、どんな会社だったのでしょうか?

白倉さんという社長に可能性を感じて、ついていくことにしました。

その会社が掲げていたビジョンが、「100社1000億企業を作る」でした。100社つくるなら、100人経営者が必要だよね、と。

新卒1期生で、正社員が10名くらいの会社でしたから。「じゃあ、なれるじゃん」と思って入社しました。同期は10人いました。

Qその会社が、いまのFull Bet Groupなのでしょうか?

はい。もとは2008年に立ち上がったネバーギブアップという会社で、2013年にリアホールディングスができて、2022年にFull Bet Groupへ社名が変わりました。

Q入社の前から、関わっていらっしゃったのですか?

大学4年の夏から、内定者インターンとしてジョインしていました。

「100社つくるなら、100人経営者が必要だよね。じゃあ、なれるじゃん、と」

中村 文則
それでも、人が辞めなかったんです。
08
SECTION 08

なぜ、辞めなかったのか。

この章の問いが、のちに商品になります。

Q入社後は、どんな仕事を、どんな働き方でされたのでしょうか?

フレッツ光のテレアポです。

休みは月2〜3日で、連日朝から終電ギリギリまでやっていました。

Qやりたい仕事だったのでしょうか?

正直に言うと、やりたいかというとやりたくないですし、社会貢献性が高いかというと高くない。インセンティブも全然ない。休みもない。超ブラックな働き方でした。

それでも、人が辞めなかったんです。魅力的な事業でもない、稼げるわけでもない、休みもない。それでも辞めない。

Q周りからは、何か言われましたか?

代表の白倉は、周りのベンチャー企業の社長から、「なんでお前のところは人が辞めないんだ」とよく聞かれていたそうです。

答えは、採用から育成、マネジメントまでを一気通貫でやっていたから。入口だけ良くしても続きませんし、育成だけ頑張っても入口がズレていれば合いません。全部つながっていたことが理由だと思っています。

Q会社の状況は、当時どうだったのでしょうか?

新卒2年目から3年目のころに、会社がキャッシュアウトしかけました。代理店事業だったということもあり、自社でコントロールできないことが多かったんです。

このままではまずい、自社サービスを作ろう、という流れになり、そこで立ち上がったのが新卒紹介のサービスです。

私が立ち上げ責任者を担当することになったのですが、営業をやりながら、人事の立ち上げもやらせてもらっていたから、でした。

Q辞めない理由が、そのまま商品になったのでしょうか?

「辞めない新卒を紹介する」という形になりました。自分たちが実際にできていたことを、そのまま外に出した感覚です。

当時、新卒紹介事業としての競合は10社もなかったと思います。いまでこそ新卒紹介は100社以上あると言われていますが、当時は少なくて、だからこそ発展性を感じていました。

「魅力的な事業でもない、稼げるわけでもない、休みもない。それでも辞めなかった」

09
SECTION 09

ナンパで、集客した。

立ち上げの1年は、ほとんど成果が出ませんでした。

Q立ち上げは、いつで、最初の1年はいかがでしたか?

2014年です。既存事業を続けながら、新卒紹介を立ち上げました。

最初は、目標を達成しない時期がずっと続きました。元上司で別部門の責任者から毎日呼ばれて、詰められていました。1年間くらいです。

「いつ売上上がるんだ」と。

Q集客は、どうされていたのでしょうか?

当時はFacebook広告が有効な時代でした。ただ、予算をかけられる状況じゃなかったんです。

なので、ナンパして集客していました。

Qナンパ、ですか?

はい。今は当たり前のように、座っていれば面談が組まれて、ボタンをポチッと押せば面談ができる仕組みが出来上がりましたが、でも当時はそうではなかった。自分たちで面談を創出し、新卒エージェントサービスについても説明をしていかなければならなかったんです。

なので、面談のありがたみは今もメンバーに話しています。あの時期を知っているかどうかで、1人と面談できることの重みが変わりますから。

Q事業が会社になったのはいつで、サービスの特徴はどこにあったのでしょうか?

2014年10月に子会社化して、株式会社リアステージになりました。

特徴は、学生1人あたり10時間を目安に面談していたことです。

3年で4割が早期退職すると言われていて、その原因は、企業の表面しか見ないで入社することによるイメージギャップが大きいと思っていたからです。1回だけ面談して、企業の紹介は電話かメール、選考間際になって面接対策。そのやり方自体に問題があると考えていました。

Q10時間で、何を話されるのでしょうか?

その学生のビジョンや目標を、数回の面談で明確にします。

あとは、会社のビジネスモデルやお金の流れ。給料をもらえるから働くのではなく、働いたことによって給料がもらえるということ。社会人としての責任を理解して入社してもらうために、それだけの時間が必要でした。場合によっては、ご両親への対応までやっていました。

企業側にも働きかけをしていました。弊社の収益は学生ではなく企業からいただくものですから、説明会や選考フローについてのリクエストや、その学生に見合った選考のアドバイスです。人が集まらない、質が悪い、説明会止まり、内定辞退が多い。課題は会社ごとに違うので、そこは個別に提案していました。

Qイベントも、かなりの本数を開催されていましたね?

学生30人に対して企業が3〜5社、という形のマッチングイベントを、年間250回くらいやっていました。

関わった学生の数は、始めて4年の時点で、もうすぐ15万人というところまで来ていました。

Q人事のコミュニティも運営され、目標も掲げていらっしゃったそうですね?

人事コミュニティもやっていました。人事は、社内に同じ立場の人がいないことが多いので。

当時の目標は、新卒紹介の領域に特化して、リクルートを抜いて業界ナンバーワンになることでした。うちのような小さな会社があのリクルートを抜いたら、とんでもないインパクトがありますし、そんな会社にしたという経験自体が、メンバーにとって財産になると思っていました。

Q結果として、どこまで大きくなったのでしょうか?

数名から始まった事業が、2025年12月末の時点で200名、30億くらいのビジネスになりました。

Qそして、2026年から今の会社へ移られたのですね?

はい。Full Bet Managementの話が進み、誰かやる人いないか、という話になって、立候補しました。

新卒1期生として、これまでのストーリーを身をもって体験してきたからです。あとは、20代の中盤くらいから役員をやらせてもらっていて、交流会にもよく参加していたので、社長との人脈がかなりあったことも後押しになりました。

「企業が3社、学生が1〜2名。だから、面談のありがたみは今も話しています」

10
SECTION 10

内定者が、クレームを引いた。

いちばん苦しかったことを伺うと、返ってきたのは「あんまりない」でした。

Qこれまでで一番苦しかったことは、何でしょうか?

あんまりないんです。感じていない、という方が近いかもしれません。

いろいろあったんですけど、自分自身の経験も重なっているので、感じなくなっているんだと思います。

Q「これはやばい」と思われた出来事は、ありますか?

それでいうと、内定者インターンの時代ですね。インターンを始めて2〜3か月くらい、やっと慣れてきたタイミングでした。

そのタイミングで、クレームをいただいてしまいました。当時、営業用のリストを購入していたのですが、その運営側にクレームが入った形でした。

Qそれは、何がまずかったのでしょうか?

リストを提供してもらえなくなる可能性につながります。

当時の会社にとっては、サービスの継続に関わる一大事でした。それを、内定者の段階でやってしまった。

Qその時、社内はどういう状況で、社長からは何と言われたのですか?

ちょうど社長を含めて、正社員のメンバーが海外へ社員旅行に行っていました。

その状況で、まず社長に連絡しました。

返ってきたのは、「ふざけるな」「こっちは旅行中だから」「お前がなんとかしろ」でした(笑)。八方塞がりで、完全に窮地に追い込まれました。

Qどうやって乗り越えられたのですか?

当時、オフィスを間借りしていたんです。

その間借り先の会社の役員クラスの方に相談して、アドバイスをもらって、手伝ってもらって。結果的に、ことなきを得ました。

Qその経験から得た学びは何でしょうか?

内定者だし、学生だし、正社員でもない。それでも、「上司を出せ」と言われたら「私が責任者です」と言え、と言われていました。

立場ではなく、その場にいる人間がプロとして責任を持つ。それを最初に叩き込まれたのは大きかったと思います。

「『上司を出せ』と言われても、『私が責任者です』と言え」

中村 文則
結局、先輩が言うことってほぼ正解なんです。
11
SECTION 11

素直さが、いちばん速い。

これから社会に出る人へ、いちばん伝えたいことを伺いました。

Qこれから社会に出る若者に、最も伝えたいことは何でしょうか?

素直さです。

失敗したな、無駄な時間を過ごしてしまったな、と今思うのがそこなんです。上司から言われたことを、素直にちゃんと受け取ってやる。それが、なかなかできませんでした。

Qなぜ、できなかったのでしょうか?

何も経験もないのに、なんとなく「自分はこうだろうな」というものがあって、それを大事にしてしまったんです。

結果、見事に、同じ事業部に配属された同期3人のなかで成績は毎月ビリでした。

Q先輩の言うことは、どうだったのでしょうか?

結局、先輩が言うことってほぼ正解なんです。

うまくいっているから「こうやった方が良いよ」と言ってくれている。それを受け取らずに、自分のスタイルを突き通してしまいました。

だから、まず結果を出してから、オリジナリティを出していく。それが自分の考え方です。当たり前ですけど、これがいちばんシンプルですし、成長も阻害しません。先輩・役員の言うことを素直に受け入れて、まずちゃんとやる。めちゃやる。それが成果を出す近道ですし、先輩からも好かれます。

Qもう一つ、伝えたいことはありますか?

質を求めず、まず数をやることです。

効率、効率、コスパ、タイパではなく、まずは数をやる。数は、あとあとで裏切らないんです。将来的に、成長と結果に必ず結びついてきます。

Q20代のご自身に、今なら何と声をかけますか?

素直になれ、ですね。それだけは、当時の自分に言いたいです。

「数は、あとあとで裏切らない」

12
SECTION 12

見ていない時間を、任せられる組織へ。

最後に、これから実現したいことを伺いました。

QFull Bet Managementとして、今後実現したいことは何でしょうか?

経営者や一部のトップセールスが頑張らないと数字が出ない会社ではなく、「誰が動いても成果につながる組織」を増やすことです。

Qいま、いちばん問題だと感じていらっしゃることは何でしょうか?

プレイングマネージャーに責任だけが集中していることです。

その結果、若手から「管理職になりたい」と思われなくなっている。組織構造の問題だと思っています。

管理職個人の自己犠牲で回している限り、下の世代はその姿を見て「ああはなりたくない」と思います。管理そのものを仕組み化することで、次世代の幹部を育てたいと考えています。

Q組織文化というのは、どこに表れるとお考えですか?

朝礼やスローガンではなく、誰も見ていない場面で社員がどう振る舞うか、だと思っています。

ですから、表面的な制度導入ではなく、社員一人ひとりの行動が自然に変わるところまで、文化を根づかせたいんです。

Q一言でまとめると、どういう状態を目指していらっしゃるのでしょうか?

経営者が毎日追いかけなくても、社員とリーダーが自ら決めたことをやり切って、成果を出し続ける組織を増やす。それが、いま目指している状態にいちばん近いと思います。

EDITOR'S NOTE / 編集後記

経営陣が現場と向き合えるのは、週に2時間。残りの166時間を、誰がどう支えるのか。

中村さんの答えは一貫しています。個人の能力でも、善意でも、気合でもなく、仕組みで支える。そして、その仕組みが習慣になったものを文化と呼ぶ。

年商3,000万円の会社に新卒1期生として入り、休みが月2〜3日の現場から、200名・30億円の事業までを見てきた人の答えです。

「なんでお前のところは人が辞めないんだ」。かつて周りの経営者に問われたその答えを、いまは商品として届けています。

中村 文則株式会社Full Bet Management 執行役員

株式会社Full Bet Management 執行役員。千葉県勝浦市出身。小学校2年からソフトボールを始め、小学校・高校でキャプテン、中学校で副キャプテンを務める。高校まで野球一筋で、高卒で家業を継ぐつもりだったが、野球部の監督の言葉をきっかけに初めて勉強に向き合い、指定校推薦で大学へ進学。大学では準硬式野球を続けた。「経営者になれる最短距離」を軸に就職活動を行い、社長が自ら説明会に立つベンチャー企業70社を受け、20社に絞って選考へ。大学4年の夏からフルインターンとしてジョインし、新卒1期生として現・Full Bet Group へ入社する。フレッツ光のテレアポから、人事部の立ち上げ、人事責任者としてグループ全体のアルバイト・新卒・中途採用を担当。その経験をもとに新卒紹介事業を立ち上げ、2014年10月の子会社化(株式会社リアステージ、現・株式会社HRteam)とともに事業責任者に就任。学生1人あたり10時間の面談、年間250回のマッチングイベントを軸に事業を拡大し、2025年12月末時点で200名・30億円規模の事業に育てた。人事コミュニティの運営も手がける。2026年、グループの組織づくりのノウハウを外部企業へ提供する株式会社Full Bet Management の立ち上げに自ら立候補し、執行役員に就任。現在は新規営業から顧客への伴走までを担当している。

株式会社Full Bet Management

設立:2026年1月15日

代表取締役:稲冨 祐介

本社:〒150-0044 東京都渋谷区円山町3-6 E・スペースタワー6階

事業内容:目標達成事業

ミッション:目標達成する組織に、再現できる「型」を。

サービス:伴走型マネジメント/数値管理/実行管理/文化定着/フォロー体制

親会社:株式会社Full Bet Group(設立 2013年11月29日/代表取締役 白倉 貴之)

コーポレートサイト:https://www.fullbet-management.co.jp/

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