創業30年・ユーザー2,000万人。「ポケトーク」の次を仕掛ける経営の頭の中 – ZEROWORKS(ゼロワークス)
EXECUTIVE INTERVIEW
No.004
EXECUTIVE INTERVIEW

「ポケトーク」の、次をつくる

COMPANY
ソースネクスト株式会社
NAME
小嶋 智彰
CATEGORY
IT・プロダクト
READ
約8分 / 全4章
82 Views#IPO・上場#AI活用#SaaS

ソースネクスト株式会社 代表取締役副社長 兼 COO 兼 CRO、小嶋 智彰さん。

創業30年、ユーザー基盤2,000万人。AI翻訳機「ポケトーク」などを世に送り出してきた同社で、経営の中枢を担います。

その小嶋さんに「一番苦しかったこと」を尋ねると、返ってきたのは意外な答えでした。

「ハードシングスは、全くありません」

理由は、根性論ではありません。歴史です。

大学ではヨーロッパの歴史を専攻。留学先のアメリカでは、経営学の父ピーター・ドラッカーの講座に月一回通い、90歳を超えて若者に囲まれるその姿に、自分の未来を重ねました。

23歳で「経営者を経て、投資家として次世代に投資・助言する」という人生の設計図を描き、「20代で役員になる人材を輩出する」という同社に入社。28歳で役員、43歳で社長、49歳で副社長——設計図のとおりに歩んできました。

AIに聞けば、8割は似たような答えが返ってくる時代。だからこそ「何を言ってるか」だけでなく「誰が言ってるか」が問われるようになる——。

歴史という"軸"を持つ経営者の原点と、AI時代の生き方を、本人の言葉でたどります。

「ハードシングスは、全くありません

01
SECTION 01 | 会社と経営者の現在地

最新技術とユーザーの「架け橋」になる

Qまず、現在どのような事業を展開されているか教えてください。

IT製品の企画・開発・販売です。

最新の技術が出てきても、一般のユーザーがすぐに使いこなせるわけではありません。当社には、複雑な技術を誰にでも使いやすい製品にして提供するという強みがあります。その代表的な製品の1つが「ポケトーク」です。ボタンひとつ押せば、さまざまな言語で会話ができる製品です。

私たちは、最新技術とユーザーの架け橋になる会社です。開発は今まで外注していましたが、AIで内製化できるようになりつつあります。企画した人が、自分で開発できるようになる時代になってきています。

Qソースネクストならではの強みは、何でしょうか。

30年やってきた実績と、そこから培われた組織力です。

そして、ユーザー基盤が2,000万人あります。そのうち、メルマガでコンタクトできるのが600万人。マーケットリサーチも、初期売上を立てることも、既存ユーザーのコミュニティの中でできます。

Q今後、実現したいことは何ですか。

「技術とユーザーの架け橋」というコンセプトは、変わらずあります。パソコンソフト、スマホアプリ、ハードウェアと、ジャンルは分かれていきますが、そこは一貫しています。

小嶋 智彰
最新技術とユーザーの"架け橋"になる。どんな人でも、ボタンひとつで。
02
SECTION 02 | あなたの原点

ドラッカーとの出会いと、23歳で描いた「90歳の自分」

Q学生時代は、どんな学生でしたか。

大学では、ヨーロッパの歴史を専攻していました。

歴史というのは、構造的に「なぜ・何が起きたのか」を考えて、それを未来に活かそう、という学問です。そのため何か起きた時に「お前のせいだ」ではなく、「どう仕組みを変えたらそれが起こらないのか」と考えるようになりました。

その後、経済史に興味関心がありアメリカに留学して、そこでは主にマーケティングを勉強していました。

Q留学中に、大きな出会いがあったそうですね。

ピーター・ドラッカーさんの授業を、直接受ける機会がありました。当時クレアモント大学で教鞭を取られていて、月に一回オープン講座があったので、受講しました。

90歳を超えてもなお、多くの若者が教えを請いに集まってくる。その姿を見て、「素晴らしい」と。「私も将来、こんな風に人から必要とされる大人になれるだろうか」と考えました。

Q当時は、どんな将来像を描いていたのですか。

23歳のころ、私は経営者になり、その後は投資家として次世代へ投資・助言ができたら、と考えました。

「90歳になっても、人に求められ、影響力を与えられる存在になるにはどうすればいいか」。それなら投資家かなと。しかし、投資家になるとしたら、経営をやらないと分からない。

起業は考えていませんでした。そんな中で、機会がありそうだったのがソースネクストでした。「20代で役員になる人材を輩出する」と創業者の松田が語っており、入社しました。

Q実際に、そのキャリアを歩まれてきました。

28歳で役員になり、43歳で社長に。社長を丸5年務めて、49歳で副社長になりました。

23歳で描いた設計図のとおり、28歳で役員、43歳で社長、49歳で副社長

03
SECTION 03 | 失敗と乗り越え方

「室町時代の平均寿命は、16歳です」

Qこれまでで一番苦しかったことと、どう乗り越えたかを教えてください。

ハードシングスは、全くありません。

歴史を勉強しているからです。よく話すのは、「室町時代の平均寿命は何歳だと思いますか?」という例。答えは16歳です(※諸説あり)。生まれてきても、1年以内に半分は亡くなってしまう。運良く生き残っても、30歳くらいで寿命をむかえる。

大変なことはあります。ただ、歴史の尺度で見ると、「苦しみ」ではなくなります。

Q歴史は、経営にも活きているのでしょうか。

歴史では、権勢を極めても、調子に乗ると討伐されるの繰り返し。

そのため、戒めのような位置付けで、事前に起こりうることを想像して動く。歴史から得た学びは、そういうところで活きてきます。

室町時代の平均寿命は、16歳。目の前の困難は「ハードシングス」ですらなくなる。

小嶋 智彰
調子に乗れば、討たれる。歴史は、戒めのために使う。
04
SECTION 04 | 次世代へのメッセージ

「誰が言ってるか」の時代に、好きを極める

Qこれから社会に出る若者に、最も伝えたいことは何ですか。

私の場合は歴史ですが、私の周りで魅力的な経営者の方々ほど、仕事の外にも一つ、深く掘り下げているテーマを持っています。

「自分の軸を持つ」ことは、AI時代ということもあり、重要です。AIに聞いたら、8割くらいが似たような回答になる。そうなると、「何を言っているか」だけではなく「誰が言っているか」が重要な時代になります。

私であれば、「歴史が好きなあの人ね。あの人が言っているなら」となる。

Qその"軸"は、どうすれば持てるのでしょうか。

何かの時の拠り所になるもの、芯になるもの、相手に認識されるものがあると良いと思います。

「好きを極める」ことです。AIにできないことは、遊ぶことだと思います。AIに、ゴルフは楽しめないですよね。

できる限りコスパ・タイパを上げたとして、それで作った時間を何に投下したいのか。そこに一生懸命になろう、ということです。

小嶋 智彰
AIにできないのは、遊ぶこと。だから、好きを極める。

EDITOR'S NOTE / 編集後記

室町時代の平均寿命は、16歳。

その歴史視点に立てば、目の前の困難は「ハードシングス」ですらなくなる。調子に乗れば討たれるという戒めが、先回りしてリスクを防ぐ経営をつくる。

23歳で描いた設計図のとおり、28歳で役員、43歳で社長、49歳で副社長。

AIが8割似た答えを返す時代に、「歴史が好きなあの人が言ってるなら」と言われる存在であること——。

「好きを極める」ことの価値を、小嶋さんは自らのキャリアで証明し続けています。

小嶋 智彰ソースネクスト株式会社 代表取締役副社長 兼 COO 兼 CRO

1977年東京都生まれ。2000年に京都大学文学部卒業後、カリフォルニア大学にてマーケティングを学び、2001年ソースネクスト株式会社に入社。

数々の海外提携や主要ブランドの買収案件を牽引する。AI翻訳機「ポケトーク」の初代プロデューサーとして事業を主導し、欧州・アジアの販売責任者やPOCKETALK B.V.(オランダ)CEOなどを歴任。

現在は代表取締役副社長 兼 COO 兼 CRO として、グループの収益責任を担い、成長戦略全般を統括しています。

Z

FOR THE NEXT FOUNDERS

Z図鑑に載る

掲載は審査制ですが、入口は開いています
自薦・他薦、どちらも歓迎です。「この人を載せてほしい」も、ぜひ。

掲載を相談する ›
掲載費用 0円取材・写真素材までおまかせ記事・写真は二次利用OK学生5,000名へ配信

ズカンくん